(エッセイ)視点を変えて、一呼吸。


※このエッセイは、都会からいなかへ移住した管理人が日々の想いを綴っています。

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先日、星空の家の庭を見渡していると、梅の花が咲いていることに気がつきました。「梅の季節がやってきたのかぁ」なんて思いながらさらにうろうろしてみると、ろうばいのつぼみが大きくなっていたり、ちょっと前まで咲いてなかった水仙の花が咲いていてたり、色々な変化がありました。厳しい寒さが続くけれど、こんな小さな発見があるとあたたかい気持ちになりますね。季節は日々変わっていく。そんなことを思う度、思い出すことがあります。
かつての同僚と話をした時のことです。一緒に働いていた職場はとても忙しく、営業として売上数字に追われ、朝から晩まであっという間に時間が過ぎ、毎日追われるように仕事をしていました。ある日、同僚は仕事を辞め、転職をしました。転職後は、以前に比べ自分の時間も取れるようになり心身共に、余裕が生まれ日々の暮らしがとても楽しく充実したものになったそうです。私が東京を離れ、いすみに移住し、自然が身近にある暮らしをしていると話をしたところ、「そうそう、私もね、今まで家から駅までの道、毎日通っていたのに、最近になってきれいなつつじの生垣があることに気が付いたの。毎年変わらずそこにあったはずなのに、全く気が付かなかった。不思議よね。四季を感じる自然はすぐそこにあったのに。自分の心持ちで、世界って全く違って見えちゃうのね。」と。目の前にあったはずのものが見えていなかったなんて、ウソのようなホントの話。その人の心持ち、視点や見方で視界や意識に入ってくるものが大きく変わってしまうのです。
そういえば、かつて星空の家に住んでいた住人さんの中も、仕事が忙しく朝早く出ては夜遅く帰ってくる日々が続き「柚子の木なんてあったんですか?」と、あれだけ実った柚子に気付かず、私もまた、星空の家を立ち上げた時に、あまりの忙しさで梅の実がたわわとなっていることを後々言われるまで全く知りませんでした。

環境を思い切って変えることも大切。でも、まずは今自分の居るところで、少し視点を変えてみてみると、きっと今までとは違うことに気が付くかもしれません。気持ちのいい青空を見上げてみたり、ちょっと寄り道をしてみたり。大きく深呼吸して、日々にちょっとだけ余裕をもって、小さな発見を大切にしたいものですね。