(エッセイ)一歩を踏み出した、その先に。


季節が変わってきました。庭に咲く花も日に日に華やかになり、桜のつぼみもふっくらしています。もうじき春ですね。春は、別れと出会いの季節。進学や就職、様々な理由で新しい環境で新しいことをはじめる人も多いのではないでしょうか。今までとは違うことをはじめることは不安もありますよね。

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今から7年前、私が東京を離れ、どこかいなかで暮らしたいと考えていた時、興味のある範囲で情報収集をしていました。自然に囲まれた生活がしたいと思ったものの、じゃあそこでどんな暮らしをしていくの?どうやって働き、どうやって収入を得ていくの?わからないことばかり。何から調べていいかもわかりませんでしたが、まず頼れるものは本やインターネットでした。

とりあえず「いなか暮らし」で検索をしてみるも思い描く情報にはたどりつけない。当時「移住」という言葉は、定年退職した人のセカンドライフか、都会で成功した余裕のある方にしかできないことというイメージがあり、出てくる情報はそのようなものばかり。誰しもが転職をするような感覚で暮らしを変えることはできないものか、選ばれた特別な人だけのものではなくて、自由に選べる選択肢の一つになれないものか。そんなことを考えていました。

その中で出会ったのが千葉県いすみ市でした。千葉県生まれ千葉県育ちにもかかわらず、まったく知らない街。調べてみると昔ながらののどかな風景が残り、すでに、若い世代の人が移り住んで暮らしている。農業だけではなく、カフェをやったり、自分で新しい仕事を見つけてみたり、東京と自由に行き来をしながらフリーで働いていたり、色々な人がいる街。目の前が開けたような気がしました。

 

すぐに気になるところへメールを送りました。勢いだけの内容にも関わらず皆さん温かく、「まずは遊びにきてくださいね。」とお返事を下さったのです。善は急げと、すぐに現地へ。初めていすみの地の降りた日、そこで暮らす人々と出会い「そっか、いなかは都会に疲れて負けて逃げてくるとろこじゃない。新しい可能性に満ちた場所なんだ」と、大きな発見をしたのです。具体的な何かは見えていなかったけれど、ここで暮らそうと移住を決意しました。

 

結局、最後の最後まで迷ったけれど会社に辞表を提出すると、あれよあれよと、いろんな「やらなければならないこと」が押し寄せてきました。引越しの準備、新居の手配、車の購入、友人やお世話になった人へのあいさつ。一歩を踏み出してしまったらあとは前に進むしかなくなってしまったのです。でも不思議と不安はありませんでした。むしろ、ワクワクドキドキ、いろいろなことが楽しみになりました。「今」より楽しいと思えればきっと間違いはないと自分に言い聞かせていたのかもしれません。

 

あの時を振り返ってみると、私にとって「まずは行ってみて、そこで暮らす人に会ってみる」という最初の一歩が今に続くすべてのはじまりだったのかもしれません。見知らぬ土地の見知らぬ人に会いに行くことはとても勇気のいることだったけれど、ちょっとだけ勇気を出して一歩を踏み出してよかったと思います。最初から大きなことはできない。高い壁を超えることは難しいけれど、まずは一歩、踏み出してみてからでも遅くはないのかもしれませんね。