5年分の感謝を込めて。


星空の家が5周年を迎えました。
2012年、6月、最初の住人が暮らしはじめた日。あれから5年と思うと、長かったようなあっという間だったような、なんだかいろいろな想いが交錯します。ずっと空き家だった家で暮らすということ、古民家の管理と手入れをするということ、そして、シェアハウスで家族ではない他人と暮らすということ。すべてがはじめての体験で、すべてに正しい答えがある訳ではなく、色々なことに悩みもがき、時に苦しみ、それでも、ここを続けていきたいと思い前を向いて進んできた5年。この星空の家だけではなく、世の中も社会も、そしてこの地域もずいぶんと変わってきたような気がします。

 

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いすみ市近郊にも、この数年でたくさんのシェアハウスができました。家という『ハコ』があって、そこで家族ではない他人同士暮らす人がいれば、それはもう「シェアハウス」と呼ばれている。「シェアハウス」という言葉が一般的になって、この地域でもはじめることがそんなに難しいことではなくなりました。移住したい人にとって住まいの問題はとても大きなもので、その解決策の一つとして、シェアハウスが増えることはとてもいいこと。しかし、増えてきている一方で、あっという間になくなってしまったという話も耳にするようになりました。住人が入れ替わった時どうするの?住人同士トラブルが起こってしまったら?ご近所さんとのお付き合いはどうするの?日々、シェアハウスではいろいろなことがおこります。暮らす人が変わるということもよくあること。暮らす人が変われば家も変わる。家、そのものの雰囲気も簡単に変わってしまいます。そんな状況の中、果たして、その地域で長く暮らす方と長いお付き合いができるのか、シェアハウス内のことだけではなく、ご近所の方との付き合いもとても大事なこと。ご近所の人からしてみれば、誰が住んでいるのかわからない家ほど、不安なものはない。「一緒に暮らしている人たちが楽しく暮らせれば、それでいいじゃない」という人もいるけれど、星空の家はそういう場所にはしたくありませんでした。

よそ者である私たち移住者は、長くその土地で暮らしている人たちの輪に後から「おじゃまします」と入っている。そう思うと、突然、列を乱してしまうようなことはできればしたくないと思いました。地域と共に一緒に、できればそこに当たり前にある家になりたかった。シェアハウスは当然人の入れ替わりのある場所だけれども、住む人が変わっても変わらないものもあることをちゃんと知ってもらいたかった。とっても時間のかかることだけど、焦らずゆっくり、周りの歩調に合わせることを大切に、この5年間を積み重ねてきたような気がします。信頼を築くのにはとても時間がかかるのに、壊れるのは一瞬。そう思うと、時に暮らしている住人さん達に、このシェアハウスが大切にしていることを丁寧に説明し、時に厳しくお願いすることもありました。色々なことがあったけれど、みなさんの協力があって、今では地域の青年部のみなさまにもお世話になり、回覧板も回ってくるようになりました。これは本当にうれしいことです。

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古民家の手入れも畑や山の管理もやりはじめたらきりがない。1日だって、1週間だってずっとやってられる。でも、ここで暮らす住人の多くは、ここで暮らしながら、家の外にも仕事や自分の居場所を持っていました。せっかくこの土地にきたのだから、色々な人と出会ってほしい、いろいろな人がいることを知ってほしいと思うと、シェアハウス内だけですべてが完結してしまうことはなるべく避けたいと思い、仕事の紹介だけではなく、人と出会うきっかけもづくりもしてきました。家の外の人と出会い交流をすることで新しい発見がある。それをシェアハウスで暮らす人とシェアしてまた新しい発見がある。そんな場所で在ってほしいという想いからでした。
仕事はバラバラ。でも一緒に暮らしていることで新しい世界を知るきっかけになる。星空の家に限らず、シェアハウスってそんな魅力があるんじゃないかなと思うのです。

実は、図書館によく遊びに来てくれるお子さんで、この星空の家と同じ誕生日の子がいます。家族と一緒にその子が遊びに来てくれる度に、星空の家が今まで積み重ねてきた月日を感じます。「この子が生まれたあの日は雨の日だったね」なんて、思い出話をお母さんやお父さんと話をしながら。すっかりお姉さんになったその子を見ていると、星空の家も少しは成長できたかなと思わずにはいられません。

毎年1冊ずつ増えているアルバムも今年で5冊目。

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この1年を振り返りつつ、ここでの暮らしが教えてくれたことを考えてみました。色々な気づきや学びがあった5年間。
このアルバムの最後は、こんな言葉で締めくくっています。

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見知らぬ土地で、ひとり暮らしはちょっぴり寂しい。
わからないことばかりで不安もたくさんある。
もし、そんな思いがあるならば、古民家シェアハウスで暮らす、
そんな選択肢を考えてみませんか。

長い人生、たった数年、家族ではない人と一緒に暮らしてみる。
今しか経験できないことを、今ここで過ごしてみる。
ワクワクとドキドキを感じるならば、
そんな暮らしもいいかもしれません。

140年と5年。長い歴史の中のまだ5年。
それでもここに刻まれている確かな歩みを、これからもしっかりと繋つなぎ進めていきたいと思います。

今までも、これからも、ずっと。

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5年分の感謝を込めて、これからも、古民家シェアハウス「星空の家」をどうぞ、よろしくお願いします。

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